皮膚科医に聞いてみようin豊富温泉2022

2022年7月17日、藤澤重樹先生、隅田さちえ先生をお招きし豊富温泉にて相談会が開催されました。
(主催:皮膚科医に聞いてみようin豊富温泉実行委員会)
三連休の中日ということもあり、湯治のため各地から来訪滞在している方や移住者など約45名が来場しました。参加者からの個別の質問について、藤澤先生と隅田先生が回答、解説するというスタイルで行われました。(以下、Q&A)

Q&A要約版

  • アトピー症状で痒いのが辛いです、何故、痒くなるのか?痒みをどう対処すればよいでしょうか?

    • (隅田先生)「痒み」について痒いのは、掻くしかないですが、痒みをなるべく発生させない、身体・生活をつくることを目指すことが大事
      (藤澤先生)皮膚の中の肥満細胞から刺激によってヒスタミンの放出により痒みが発生する。アトピーの人は、これが起きやすい。痒みをコントロールするのはとても難しい。痒みを我慢しようと思わないほうがよい。
  • 汗をかくと、痒くなるのは何故?また、対処法は?

    • (藤澤先生)体温が上昇して汗をかくときには血管が拡張して痒くなりやすい。汗をかくことは避けられないですが、汗の成分には尿素など、保湿成分が含まれていて自ら保湿する機能を高めるので「汗と良いつきあい」をすることが大事。「アスリートのアトピー無し」と言われるように運動して汗をかくことは重要。
      (隅田先生)アトピーの症状が改善していく方には、継続して運動して汗をかいている傾向がある。「汗は友達」と考えたほうがよい。汗をかいたら臭うので、洗わなくてはと思う人もいるが、衣服についた汗が変質して臭うのであって、着替えることで大丈夫。
  • 脱ステロイド脱保湿をして1年2ヶ月くらいが経ちますが、上半身は症状が落ち着き、今は下半身の炎症と落屑が長引いている感じなのですが、脱ステ後、どのような変遷で部位ごとに治癒に向かうのでしょうか?また、自分は落屑の期間が長いように感じますが、どのくらいの期間で収束していきますか?

    • (藤澤先生)まず、顔から良くなっていき、次に上肢が改善し、続いて下肢という順番が多い。最後まで症状が残りやすいのは、手(手湿疹)です。この炎症から回復していくメカニズムを「湿疹三角」と呼ばれ、紅斑→丘疹→痂皮→落屑という変遷を辿り治癒する。落屑が嫌で、いつまでも保湿剤を塗っていると治らない。落屑は、本当はウエルカムなのです。「もう少し頑張って」というサインでもあります。落屑の期間については半年ぐらい続くのは普通で、中には1~2年かかる人もいます。それで、落胆挫折して保湿剤に頼る人が多い、それによってアトピー街道が続いてしまう人が多い。
  • 藤澤先生の本を読み、一昨年、脱ステ脱保湿をしましたその後、2回リバウンドを起こしました。その後、豊富温泉に来て200日くらい湯治しています。家の事情で再来月、地元に帰らなくてはならなくなり、長期間、豊富温泉で究極の保湿を受けているが、湯治から帰った後、脱保湿をするべきなのか? 保湿を続けるべきか?

    • (藤澤先生)是非、脱保湿をしたほうがよい。豊富温泉はフィラグリン形成には良いが、保湿になってしまうのが短所
  • 風呂に関して、お二人の先生は脱風呂や短時間の入浴を勧めている一方で豊富温泉を勧められていますが、最近「塩化マグネシウム浴」「エプソムソルト浴」が話題になっていますが、効果はありますか?

    • (藤澤先生)「サーファーにアトピー無し」と言いますが、海水には沢山マグネシウムが含まれますが、マグネシウムの特徴として経皮吸収されやすいので、「塩化マグネシウム浴」「エプソムソルト浴」は効果があるのではと思っています。
      (隅田先生)豊富温泉は非常に歴史があり、これまで多くの患者さんが湯治によって良くなっているのは承知しています。マグネシウムについては分かりません。「風呂断ち」というのは、着替えだけして、皮膚を全く濡らさない、ことをしていたくのですが、ステロイド使用していた患者さんが、ステロイドを止めたあとはとても大変な状態であり、その時に洗ってしまうと、猛烈に痒くなってしまう。なので、それを避けるためには皮膚を洗わない、濡らさないというのが大事。昔、自宅に温泉を宅配して一日何時間も風呂に入るというのが ありましたが、「体力が奪われるし」「細菌感染の機会が増える」のでとっても危険です。
  • 豊富温泉に湯治開始直後に悪化(痒くなる)工夫はありますか?

    • (藤澤先生)これまでのアンケート調査結果から、湯治最初の3~4日くらいは悪化しやすい傾向がある。入浴後、夜、寝るときに痒くなることの対処については、「裸で寝る」と効果的な場合があります。
  • ここ最近、新薬が続々と出ていますが、これについての見解を教えてほしい

    • (藤澤先生)いろいろ新薬が出ていますが、4年前に処方認可になったデュピルマブ(デュピクセント)は、現時点で非常に効果が見られる。
      (隅田先生)確かにデュピルマブ(デュピクセント)を処方した患者さんは、多くの改善事例を確認できていますが、費用が1ヶ月で5万円くらいと高額。免疫調整作用が全身に及ぶので、現時点で際立った副作用は確認されていないが、正直なところ分からない。
  • 食べものについて、医師によって見解がかなり異なります。肉や乳製品はどうなのか?

    • (藤澤先生)食事制限が負担になる方は、負荷になる方は難しい。しかし、タンパク質を摂取することは大事。ホエイプロティインからだと効率的に摂取できる。
      (隅田先生)阪南中央病院に入院の患者さんは、基本的に食事制限は無いが、食事時間(リズム)が大事で就寝前の飲食はなるべく控えるのがよいようです。
  • 過去に糖質制限をした際、コレステロール値が上昇し、内科医に止めるように言われたが?

    • (藤澤先生)最近の研究ではコレステロール値が高いほうが長生きできるということが分かっている。あえて下げる必要はない。
      (隅田先生)コレステロールは細胞膜の原料になるので必要。女性に関しては閉経後、コレステロール値が上昇する。
  • 病院受診時に皮膚の黄色ブドウ球菌が悪化要因になっているとのことで、超酸性水による治療を勧められたが?

    • (藤澤先生)過去、一時期、超酸性水による治療が注目されたが、殺菌性により、皮膚の常在菌も死滅させてしまうことで、以前、イソジン療法などが試された時期があったたが、効果はあまり確認できなかったので勧められない。
      (隅田先生)子どもに関して、何かを塗って良くなることは基本的に無いです。身体を強くすることが大事です。
  • 症状が悪化して先の見えない状態の時、気の持ち方の秘訣などあれば教えていただきたい。

    • (藤澤先生)アトピーの症状は波があるが、悪化した後は必ず改善があることを理解して、近視眼的にならないことが大事。
      (隅田先生)これまで、酷い状態、症状から、良くなった患者さんの事例を沢山見てきています。中には普通の人以上に皮膚が綺麗になった方もいるということを伝えたいです。
  • 皮膚科医に診察を受ける際、短い診察時間の中で医師に相談や質問をするための工夫はありますか?

    • (隅田先生)残念ながら、現在の医療体制、制度では短時間の診療時間になってしまっています。初回の問診では、細かく聞いて確認するのですが、以後の診察ですと皮膚は見て状態がわかるので、見た目で判断しがちです。患者さん側からも遠慮せず、粘って相談、質問してみることも大事だと思います。
      (藤澤先生)患者さんの中にはA4用紙に質問事項を箇条書きでまとめたものをプリントし渡してきた方がいます。その用紙をスキャンして、電子カルテに読み込んだり、オンライン診療であれば、テキストベースでのやりとりもできます。工夫次第でできることはあります。

Q&A完全版

  • アトピーの強いかゆみは何?その時の対処法は

    • (隅田先生)痒い疾患なのがアトピー。痒いのは我慢できない。大人ならやさしく掻く、子どもは掻くことを邪魔せず自由に掻けるようにする。痒みが大きくならない生活を作ることが大事。
      (藤澤先生)肥満細胞は痒み神経を刺激するヒスタミン顆粒をたくさん持っている。刺激があると肥満細胞からヒスタミン顆粒が放出されて痒みが起こる。じんましんも同じ機序、アトピーの方はそれが起こりやすい。掻くほど痒くなり、炎症が強くなり悪循環が起こる。掻くことは我慢できないので、掻いたからといって、落ち込まないで、また掻いたか、「まいっか」という気持ちでいると楽になる。爪を短くする。ストレスなどとも関連するので痒みをコントロールするのは難しい。
  • 汗をかくと痒くなるのはなぜ?

    • (藤澤先生)アトピー性皮膚炎診断基準の一つに、「汗をかくと痒くなる」がある。アトピーにとって汗と痒みは避けて通れない現象。汗の成分が刺激になることもあるし、汗をかくこと自体が刺激になることもあるが、かかないようにすることが良いのではなく、汗とは良いお付き合いをして、汗を克服して乗り切る方がアトピーは治りやすい。
      (隅田先生)運動している人は運動で汗をかいても良くなる。汗をかくことを避けるより運動して筋力をつけることがとても大事。汗は友達。洗い流さなければならいと思っている人が多いが、洗い流さなくて良い。
      (藤澤先生)汗には尿素が入っている。尿素クリームというのを聞いたことがあると思うが保湿成分がたくさん入っている。抗菌ペプチドという、とびひを防ぐようなタンパク質も入っている。だから汗の成分はウエルカム。さっと流す程度はいいがゴシゴシ洗うのは間違い。
      (隅田先生)皮膚を良くしようと思ったら皮膚に何か塗っても良くならない。運動して筋肉を付けると血流が良くなって良い皮膚を作る。そうするとアトピーは良くなる。
  • どんな運動が良い?

    • (隅田先生)子供が良くなるためには子供の掻くのを邪魔しないこと。手袋や大きなクッションに乗せておくのも余計な事。良い子育てをする=余計なことをしない。赤ちゃんはお腹の中から出てくると手足を伸ばして運動する。運動するために大事なのは床がまっすぐで固いことが大事。床がまっすぐで固いと手足が動く。よだれかけなど邪魔なものはしない。赤ちゃんは手足を動かして正中線を作っていく、つまり正中をキープできる骨格を作っていく。子供は体温が高いので37度は平熱。冷たい風が入って来ない部屋の中なら、基本、服は1枚。就学前までの子どもは冬でも室内では半袖一枚で良い。薄着の方が運動しやすく、筋肉が発達しやすい。
      (藤澤先生)大人の運動について。阪南中央病院では入院すると、今はコロナであまり遠くには行けないが朝から夕方までずっと歩かされる。それだけ運動するとアトピーは楽になる。運動不足が良くない。症状があるから、痒いからと外に出られずじっと家にいるとアトピーは続く。現代はアトピーには逆行することが多い。車で移動ではなく、本当は歩いたり自転車、走るなどが大切。室内でストレッチなども良いが外で体を動かす事、ともかく楽しむことをおススメする。
  • 高校生からテニスをやり、現在仕事は週1、テニスは週2やりたいが皮下出血がよく出来る。知人の医師に聞くと60年も太陽にあたっていると皮膚が薄くなりできやすいのは当然と言われた。これは正しいのか。豊富温泉が痒みによく効くと知り、趣味の写真も撮りたくて3週間の予定で湯治に来ている。最初はホテルで2日間ほど入ったが同宿の人にふれあいセンターの朝イチの湯が良いと教えてもらい2日ほど試したら、首から胸の辺りが非常に痒くなってしまった。コンシェルジュデスクで相談したところ、朝の濃い湯は避けた方が良いと言われ、今は控えて少しおさまった。どうして痒くなるのか?

    • (藤澤先生)皮下出血について、60代くらいから皮膚の膠原繊維が薄くもろくなる、血管壁ももろくなりちょっとあたってもすぐ出血する。加齢による現象。血管が丈夫になるような栄養を摂る。ステロイドを塗らない。ステロイドで皮膚が薄くなる。お風呂では石鹸を使わない。 湯治開始後痒くなったのはコンシェルジュスタッフが説明されたように入り過ぎだったのかも。大体湯治開始後3,4日は悪化しやすいので、それかもしれない。フィラグリンという物質は肌が乾燥していたりアトピーの人は生成されにくいが、タール浴で増えてくる。健康な人の肌に近くなってアトピーが良くなる、豊富ではそういう現象が起こる。これからは一日1回浴程度にしたり、一般浴場の方が良いのかもしれない。
  • 脱ステ脱保湿開始し1年2か月。上半身がひどい状態だったがそれは落ち着き、今は下半身の痒みと落屑が長引いている。基本的に脱ステした後はどういう変遷を経て治癒していくのか聞きたい。落屑も大小あるが無くなっていくまでの落屑のタイプの流れを聞きたい。

    • (藤澤先生)治る部位は、まず顔が最初。それから身体、上肢下肢が残って、腕が先に治り、足が後を追いかけるように治り、最後に残るのが手湿疹。手湿疹を乗り越えるとアトピーは治るが、数年かかることもある。落屑については、湿疹三角=最初に紅斑が出来て湿疹や丘疹からカサブタ、そして落屑で治癒。落屑は大きい粉がだんだん小さくなって消えて治癒する。落屑が嫌でいつまでも保湿剤を塗り続けるとアトピーは治らない。落屑はウエルカム、もう少し頑張れば治るよのサイン。
  • 書籍などでは落屑期間はそう長くない気がするが、自分は半年以上続いている。

    • (藤澤先生)それは普通。1,2年かかる人もいる。それで落胆して保湿剤に戻る人もいるが乗り切らなくては。期間はアトピー歴や乾燥肌の状況その他によって個人差はある。メンタルも影響する。
  • 2014年9月に藤澤先生の本を読んで脱ステ脱保湿をした。2021年4月と9月にリバウンドを起こし、豊富温泉に来て、改めて長期に湯治を考え200日以上湯治しているが、家の事情で地元に帰ることになった。1年以上豊富で究極の保湿を受けている。いったん地元に帰った時にまた脱保湿をするべきなのか。それとも保湿を続けるべきなのか教えて頂きたい。

    • (藤澤先生)豊富温泉の短所は保湿になってしまうこと。フィラグリン形成にとても良いお湯なのでその点が痛し痒しなのだけれど、今後は脱保湿をしていく、絶対塗らないこと。一年二年かかっても塗らないこと、そうしたら必ず良くなる。
  • お風呂に関して。先生たちは日頃脱風呂や短時間入浴を掲げているが、エプソムソルト浴や塩化マグネシウム浴を最近よく耳にする、効果はどうなのか。

    • (藤澤先生)サーファーにアトピー無しという。海水にはマグネシウムがたくさん入っている。マグネシウムの不思議なところは経皮吸収がすごいこと。エプソムソルト、ぬちまーす=沖縄の塩などにはマグネシウムがいっぱい入っているので、皮膚の代謝も良くなる。エプソムソルトは良いと思う。豊富温泉のお湯にはマグネシウムが高濃度に含まれている。豊富温泉はすすめるのに風呂絶ちも大切というのが矛盾だとよく言われるが、痛し痒しだと思っている。
      (隅田先生)豊富温泉は歴史があって、非常に多くの患者さんがとても良くなることがわかっているので、私も皆さんに紹介するし、紹介した方も良くなられている。その他のマグネシウムなどについては全く存じ上げません。風呂断ちは、全く風呂に入らず着替えだけして皮膚を濡らさないで頂くこと。ステロイドをずっと塗っていた患者さんがステロイドを止める時、皮膚にとっては、外からもらっていたホルモン剤がもらえずすごく大変なので、その時に洗ってしまうと猛烈に痒くなる。それを避けるために濡らさないでいるとものすごく楽。臭いかというと全く臭くない。皆さんの汗が服につき、そこに付着した細菌によって臭いが発生する。ステロイドを止めたばかりの皮膚は皮膚自身が頑張るために風呂断ちをするのがベストだと思う。いつまでするかというと良くなったらどんどんシャワーなど出来るので、それでいいと思う。一日何時間も風呂に入って回復しようという方法もあるがとても危険。体力が奪われ、お金も奪われ、細菌感染の機会がすごく増えるので、とても危険。
  • 風呂断ちから良くなったらシャワーを浴びても良いと言うことだが、良くなった時とはどういう時?

    • (隅田先生)皮膚を見ていたらああ良くなったねとわかる。
  • 湯治を始めて何日も経つと良くなっていくが、最初の頃は温泉に入ると痒くて辛いと言われることが多い。受け入れる側として、我慢して何日も過ごせば治ると言うだけでは申し訳ない気持ち。特に夜寝る前に入ったらものすごく痒くなって眠れないという。温泉に入りながら少しでも痒さを押さえる工夫、あまり痒くならない方法はあるのか。また、最近よく聞く新薬のこと、世に出てきて使う方も増えてきて年月も経ってきたので、今どういう風にみていらっしゃるかお聞きしたい

    • (藤澤先生)以前とったアンケート調査でも皆さん最初の3,4日はそういう現象がある。それから5,6,7日と良くなっていくので、3,4日は悪くなることを伝えるべき。そういう調査結果があることを伝える。寝る時は裸で寝るのが一番良い。すっぽんぽん、おまたが痒いときは下着をはかない。裸で寝れば少しは楽になると説明している。 新薬に関しては歴史的にみると4年前にIL4とIL13をブロックする中和抗体、デュピクセントが出来て、これが効くという点で人気を博し、世界中でも日本でも使用量が増えている。実際どんなに脱ステ脱保湿をして頑張ってもなかなか治らない人は結構いらっしゃる。そういう人には最後の手段として導入すると、100%重症だった方がゼロになるくらいよく効く。JAK阻害剤は円形脱毛に効くということで適応になっているが、副作用がありあまり勧められない。Jak1、Jak2、Jak3、Tyk2のすべてのキナーゼ活性を阻害することにより,種々のサイトカインシグナル伝達を阻害するコレクチム軟膏には感染症などの副作用が多すぎるので使用法が難しい。モイゼルト軟膏は使った感じではそこそこ使えそうというレベルで、まだこれから評価をしていかなくてはいけない段階。デュピクセントの欠点は値段が高い、使い始めて3,4か月は結膜炎になりやすい、良くなっていくけれど、治るのに時間がかかる。デュピクセントはうちの患者さんだと2年やって中止した人が何人もいるが、再燃していない。だからお金を出す勇気がある、あるいは新しい治療をする勇気がある人には良いかと思っている。
      (隅田先生)デュピクセントは免疫調整剤になるが、本当に楽になられている。一か月の負担が5,6万かかるが症状としては確実に楽になられるので、一定期間の選択として、社会生活などを考えて選択される方は今後多分増えていかれると思う。
      (藤澤先生)最初に打つのが2本、自己注射でひと月6本までもらえるので、それを高額療養費で戻ってくると1本2千円位の負担、効きめを考えると非常に高いものではない。
  • 今のお話だとデュピクセントはちょっと高いけれど良い所しかないように感じた。極端な話、皆でそれを受けたら皆治ってしまう?

    • (藤澤先生)まず自己注射は痛い。値段もそう安くはない。あとはやってくれる医療機関がそばにあれば良いのだけれど、まだ手掛けていない医療機関が多い。ステロイドを塗らなくてはいけないと言われるが塗らなくても使える場合もある。
      (隅田先生)皆治ってしまうか、それはわからない。一定期間注射を打って止めたらまた元の症状が出た方もいらっしゃる。免疫調整剤と言ってもインターロイキンという体の中にある自分の化学物質、ある一部を全身に対して抑制しているので、大きな副作用報告はないが、では今後も無いの?というのはわからない。
  • 食べ物について。何でも食べていいという先生もいるし、タンパク質、肉や卵を多くとることを勧める先生もいる。野菜中心もあるし、油が良くないと言う先生もいる。一番悩んでいるのが肉と乳製品をとって良いのか。甘いものを控える、アルコールを控えるというのもあるけれど、好きなものを我慢しない方が良いという意見もある。先生方のご意見を聞かせて頂きたい。

    • (藤澤先生)食事制限が嫌な方には食事療法は無理。間違いなく良いのはタンパク質。皮膚は何で出来ているかというのが答え。皮膚を良くする成長ホルモンはタンパク質。タンパク質不足だとなかなかアトピーは治りづらい。治りにくかった人がタンパク質を摂るようになったら、一気に治ったという話は僕の患者さんからもよく聞く。ホエイプロテインのWPIを飲むと非常に効率よくタンパク質が摂れる。後はミネラルやビタミンが大切だと患者さんには説明している。糖質制限をすれば良いのだができない人がほとんど。糖質依存症はなかなか手ごわい。生まれた時から皆さん、糖質を食べている。甘いものを食べると痒くなるというのは皆さん経験からわかっている。
      (隅田先生)阪南中央病院に入院された患者さんの食事指導は栄養士さんが朝昼晩作っているが、プラスおやつとしてタンパク質を食べてと言われる。唐揚げでもいいしハムでもチーズでもいい。メニュー以外の食事の注意点としては食事を食べるリズム。朝7時、昼12時、夜6時、この時間のリズムがとても大事と指導されている。特に夕食が遅くて寝るまでの時間が短いのはダメと言われている。最後に夕食を6時か7時に食べたら寝るまでは水分すらとらないように指導を受けている。食事の内容も大事だが食事をとるリズムも指導されている。 水分制限について。湯治をしている時は汗をかくので水分補給が必要と思うが、ステロイドを止めた患者さんは水分制限の指導を受ける。一日のトータル水分を、例えば50キロくらいの人だと一日1000~1200ccくらい、良くならなかったら800~1000㏄に落としてと言われる。すごく影響が大きくて、特に夕食後に水分をとると夜中に皮膚のむくみが起きて掻くことで悪化する。水分制限は厳しく指導を受ける。皆さんの中でも水を一杯飲んだ方が良いと思っている方は気をつけてほしい。
  • 何年か前に糖質制限を10か月くらいやった。始めるにあたって色々な本を読んだが、中途半端な制限は意味がないと書いてあった。その時は厳格にタンパク質中心+野菜でやってみたがコレステロールかすごく上がってしまい、別のことでかかっている先生から言われ止めたが、今思うと何がいけなかったのか。コレステロールがそんなに上がらない糖質制限とはどういう方法があったのか聞きたい。

    • (藤澤先生)糖質制限で普通コレステロールはそんなに上がらない。最近では、コレステロールは高い方が長生きするというdataもある。アメリカでは1960年代にコレステロールが随分叩かれ、当時卵は一日1個しか食べてはいけないとか言われていたが、今アメリカではコレステロールの異常値は撤廃された。もちろんとても高い人は別だが。コレステロールを低くおさえると死亡リスクが上がるという調査もある。コレステロールを下げるためにスタチン製剤を内服される人が多いが、副作用が多いので注意が必要だ。特に高齢者が圧倒的に内服されているが、異常に高値でない限り服用を続けるかどうか検討された方がよい。
      (隅田先生)コレステロールは全ての細胞の膜を作る原料なのでそれを薬で下げるとリンパ球や好中球などの免疫細胞もうまく産生されないということになる。色んなトラブルが出る。ただ女性は閉経後コレステロールが確実に上がる。私も閉経後300まで上がったが自然の成り行きなのでそれは病気ではない。
  • 3,4年前、アレルギーの病院で黄色ブドウ球菌などを殺菌するということで塗付用に超酸性水をもらっていた。小学生の子に症状が出てきたので、ステロイドなしで超酸性水で治す方法は良いのかお聞きしたい。

    • (藤澤先生)現在超酸性水をやっているところはあまりないと思う。確かに某大学の皮膚科できつい塩素のお風呂に入浴させるアトピー治療の研究をしていたが、ある程度清潔にすることは出来るが色んな常在菌をダメにしてしまい、返って黄色ブドウ球菌を付けやすくしてしまうことになり、今はあまり認められていない。あまり皮膚を濡らさない方が良い。皮膚には常在菌がたくさんある。表皮常在菌、マラセチア菌、デンプウ菌、アクネ桿菌など、結構黄色ブドウ球菌をはねつけてくれる。キレイキレイが日本をダメにするということが起こる。
      (隅田先生)子どもの治療に「何か塗って治す」はいらない。子供が成長し強い皮膚を獲得するとアトピーは消える。とにかくまず寝る、食べる、運動する。体が成長して強くなるとアトピーは本当に消えていく。昔は全身をイソジンで消毒して菌をやっつけようとか本当に一生懸命取り組んでいたが、どれも著しい効果はなかった。
  • 自分はアトピーではないが、痒い時にヒルドイド、ネリゾナを塗っても良いのか。マイザーはよほど痒い時以外使ってはダメと言われている。平素の保湿剤はヒルドイドだけで良いものか。

    • (藤澤先生)ネリゾナもマイザーもステロイド。ステロイドの欠点は塗れば塗るほど皮膚の脆弱化、もろくなる。血管ももろくなるので内出血もしやすい。そういうものはよほどのことがない限り、塗るものではないと患者さんには申し上げている。ステロイドは自分の肌で作られている。外から塗ったら自分の肌で作れなくなってしまう。かぶれや虫刺され等で一時的に塗るのは一つの方法だが、年を重ねて痒いからそれを塗るというのは…いかがなものでしょうか。ステロイドの副作用はたくさんある。保湿する位なら風呂の回数を減らす。タモリ式入浴法がある。石鹸を使わないのもよい。
  • 私自身も幼少期からアトピーで育ち、手がずっと残っている状態。自分の事は我慢できるが、未就学の子供の症状が悩み。私が幼少期からアトピーと食物アレルギーだったので、ステロイドは病院で処方されるがまま塗っていた。ただ4歳半を迎えた辺りで、口周りは塗っていけばいくほど依存している、皮膚が弱くなっていることに気付いた。去年の冬くらいから自宅での食事も調味料、添加物に気を付けたり、なるべく小麦の物を減らしたり、自宅で出来ることを自分なりにやってきたが悪化。受診すると「お母さん塗っていますか」と言われ、おかしいなと思い自分で色々調べ脱ステを知り、今年の2月に始めた。子供もなんとか4か月間がんばったが、夜眠れない等も出てきて、通園に支障が出る心配が生じ、自分も仕事をしているので、悪くなってきた時にちょっとステロイドを塗ってしまった。そしたら調べた通りまた赤い湿疹がぶり返してきた。昨日初めて子供を豊富温泉に連れてきて温泉に入ったら保湿しなくても、あぁ違うと感じられた。うまく眠れることを大事にしたくて、6時半に夕ご飯を食べて7時半には寝てしまうので、あまり重たいものを食べさせられないと思い、タンパク質も肉だと消化が遅くなるとか考え、自分でもどうしたら良いか悩む。ただステロイドには頼りたくない気持ちには行きついた。今後、子供は良くなっていくのかも含めどのような心構えと方法でやっていくのが良いのかアドバイス願いたい。

    • (隅田先生)お子さんに会ってみないとわからないが、一つはYouTubeで小児科医の佐藤美津子先生が子供に対することをお話されている。美津子先生がおっしゃる内容ができていればまず心配はないだろうと思う。当院に幼児さんが来られ、全身に塗っていると言われた時は、最初にお風呂シャワーゼロにして頂く。お子さんにお風呂やめてもいいかなと聞くと大体が喜ぶ。お風呂ゼロにして頂いて後は基本何もしない。ただあまりにも塗っていた量が多い時はランクを弱くして、塗る場所を減らして様子をみながらゼロにする。
      (藤澤先生)お肉を食べさせると消化が悪いとおっしゃったが、お肉は非常に消化の良い食物。胃でほとんど消化される。おかゆが消化にいいのかというとそうとも限らない。タンパク質を積極的に摂ると早く皮膚は丈夫になる。
  • 藤澤先生のおかげで豊富温泉に来ることができた。2週間ほど宿泊していて大分良くなったので、気候も良くて過ごしやすいなと思った反面、あともう少しで帰らなければいけないとなった時に、今は良くなってもまた戻った時にぶり返してしまうのではないかという不安もあるので、戻った時に豊富温泉と同じことをするのは難しいと思うが、こういう事をした方が良いよというアドバイスがあれば。

    • 風呂断ちされること。関東一円でしたら豊富に似た温泉がいくつかあるから、それをいくつかあたってみて。
  • 短い診察時間でスムーズに自分の事を先生に伝えるにはどのようなことを話せばいいか

    • (隅田先生)言い訳ですが、日本の制度はすごく短時間診療になるようになっていて、本当に良くない。初めて来た患者さんについては問診票で細かく聞かせていただいて、どうしますかとなるが、何回か来て下さっている患者さんについては、良いか悪いか皮膚はぱっと見てわかるので、私達もいけないのだが…。患者さんも言うというか聞くというか粘るというか遠慮せずにして頂ければと思う。私も気をつけます。
      (藤澤先生)患者さんによって、A4の紙一枚にプリントアウトして渡して下さるということもある。そういう工夫をされると今は電子カルテなので、それをスキャナーしてすぐ取り込めるし、オンライン診療の場合だとテキストファイルでそのままカルテに書き込める。質問を箇条書きにしておくとか可視化するのもひとつ。
  • 両名のようにステロイドを使わない先生には話しやすいが、ステロイドを使わない治療を選択した場合、例えば皮膚科以外の他の科にかかった場合、内科耳鼻科眼科などでステロイドを処方された場合、拒否すると怒られたりする、その時に上手く伝える方法は?

    • (藤澤先生)ステロイドで以前凄く困ったことがあった、と伝えてみてはどうか。
  • どうしてもすごく調子が悪い波が訪れるタイミングがある。そう言った時の気の持ち方についての秘訣を教えてほしい。

    • (藤澤先生)アトピーには波がある。悪化したらどうなるかというと必ずその先には改善がある。どんなにひどく悪化してもきれいに治る、症状が強ければ強いほどその先には非常にきれいな自然治癒が待っているということを理解して過ごすと、割と早く良くなる。どうしても遠くを見られないとか近視眼的というか、もうだめだ、人生終わりだなどと思わないこと。悪化した時は、また悪化したな、放っておいたら治ると開き直るとよい。加藤隆行さんという心理カウンセラーが唱える「まいっか」という気持ちが割とアトピーの克服には良いと説明している。気持ちの問題、まいっか。それで結構よくなる。一回リバウンドで悪化しても、きれいに治ったという経験をお持ちの方がたくさんいらっしゃる。そんな風になれる。
      (隅田先生)色んな患者さんにお会いして、こんなに症状がきついのに、こんなにきれいになって、ということを何人も経験すると、本当に良くなるということを知っているので、少し気持ちが落ちている患者さんを診ても、まぁ、大丈夫じゃないか位しか言ってない。相手からしたら気楽なことを言っていると思われるのでしょうけれど…すいません。
  • 藤澤先生にオンラインで診て頂いて、よく「待てば海路の日和あり」ということわざを言ってくるけれど、最初は辛いときに何を言っているんだと思った。でも待っていたら本当に良くなってきて、良くなってくると今度は悪いところに目が行くようになってくるが、前ひどかったところはもう治っていて、もう少し広い視点で自分の皮疹の経過を見ていったら、トータル的に間違いなく改善していると気付いた。と同時にメンタルが強くなってきたことにも気付いて、脱ステ脱保湿というのは皮膚も体も動物本来の体に戻っていくと同時に精神的にも強くしてくれる療法だと思い、今はかなり感謝している。オンラインは本当に便利だと思う。脱ステ医、北海道は本当に探すのが大変で、道北だと札幌に行くしかなくて、そんなに頻繁に札幌に通えないので、オンラインは本当に素晴らしい制度だと思って感謝している。

    • 回答なし
  • 主人が夜中に痒がったりするので今回は3週間ほど豊富温泉に来たが、関西に住んでおり、豊富温泉に近い温泉は近くにあるか

    • (藤澤先生)関東にはあるが関西には無い。
      (隅田先生)阪南中央病院に行かれたらいい
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