痒みが軽減されたことで精神的に余裕が出来ました
MEMO
- 症状
- アトピー性皮膚炎
- 病歴
- 9年(初めて湯治に来たときは5年)
- 湯治日数
- 3週間
- 湯治を終えて
- 痒みがかなり軽減され、皮膚の炎症も一部を残して治まった。
私は20歳のときにアトピー性皮膚炎を発症し、ステロイド剤での治療を始めました。しかし2年もすると薬の効果が得られなくなり、脱ステロイドを決意しました。
始めた直後から、脱ステロイドによる諸症状が表れ、全身の皮膚の炎症、浸出液、強い痒みと痛みに苛まれ、眠ることも、起き上がることも出来ない、寝たきりの日々が続きました。
そんなとき、ステロイドに頼らない治療を提唱している藤澤先生の存在を知り、診察して頂く機会を得たことで、豊富温泉に辿り着きました。
雪の降る2月、はぼろ号を降りた私は、吸い込んだ空気の冷たさに驚き、日本最北の地にようやく辿り着いたことを実感しました。ここまで来たからには、必ず成果を出して帰ろう!と意気込み、湯治を開始しました。
初日は、短時間お湯に浸かるだけで済ませましたが、温泉のお湯が全く沁みないことに感激しました。しかし、そこからの1週間、思いもよらぬ事態に陥りました。
次の日は朝から1時間程度の入浴を4・5時間毎に繰り返しました。
夜になると、体が熱をもって、痒みが強くなっている気がしたので、温泉が自分の体に合わないのではないかと不安になりましたが、期間は3週間あるので、焦らないよう自分に言い聞かせました。
結局、湯治開始から8日目あたりまで、皮膚の状態は悪化していきました。皮膚は赤く腫れ、強烈な痒みに襲われましたが、他の湯治の方から「湯治開始1週間は痒みが強くなり、皮膚に赤みが出るが、それを越えて湯治を続けると、急に楽になる」と聞き、その言葉を頼りに湯治に励んだところ、少しずつ状態が良くなり始めました。
まず、皮膚の赤みが治まり落屑が増えました。ただ、湯治前と違うのは、剥がれた皮膚の下に、新たな皮膚が作られていて、血も浸出液も出ないことでした。皮膚を掻いて傷ができたとしても、温泉に入ればすぐに治ると信じられることで、安心して眠ることが出来、ストレスも減りました。
3週間経ち、湯治を終えるころには、痒みを感じることがほとんどなく、炎症のあった肌も色素沈着を起こして痕が残っている程度にまで良くなりました。今までに数多くの温泉地に足を運んできた私にとって、ここまで効果のある温泉は初めてで、奇跡にも思えました。
湯治を終えて地元に帰ると、半年程でアトピーの症状が出始めましたが、以前に比べると精神的に随分余裕が出来たと思います。温泉でアトピーの完治は難しいかもしれませんが、私にとってこの豊富温泉は、少しでも人間らしく生活するためのなくてはならない手段として、おそらく一生、お世話になると思います。