稚咲内砂丘林を散策してきました
こんにちは!
豊富町には、素晴らしいサロベツの自然が広がっています。
その中でも、生物多様性の宝石と言われているのが、稚咲内砂丘林(わかさかないさきゅうりん)です。
サロベツ原野のすぐ隣にある稚咲内砂丘林、皆さまご存知でしょうか?
稚咲内砂丘林について、林野庁北海道森林管理局が発行されている素敵なパンフレットがあります。
インターネットで、無料で閲覧することができます↓
『知られざる道北の森林と湖沼群 図解稚咲内砂丘林』
読んでみると、最初から印象的なタイトルが目に飛び込んできます。
「道北に残された宝石 稚咲内砂丘林」。
北海道の北側を、道北と呼びます。
「道北は、日本に残されたアウトドア最後のフロンティア」と言う人もいるくらい、自然が残された場所。
(道北の自然をフィーチャーしたBASISというサイト、めっちゃカッコいいのでぜひご覧ください→★★★)
その中でも、宝石と言われる稚咲内砂丘林とは、どんな場所なのでしょうか。
稚咲内砂丘林は、日本最大の高層湿原であるサロベツ湿原と日本海(稚咲内海岸)の間の砂丘列上に位置する、幅約2km、長さ約25kmの天然の森林帯です。
海岸線に沿って伸びる、トドマツやエゾマツ、広葉樹からなる天然林の間に、大小100を超える湖沼群が点在しています。
この全国的にも非常に希少な独特の森林・湖沼生態系を保全するため、稚咲内砂丘林の大部分は様々な法律で厳重に保護されています。
(利尻礼文サ ロベツ国立公園、国指定サロベツ鳥獣保護区、北海道指定天然記念物、稚咲内海岸砂丘林植物群落保護林などに指定)
そのため、稚咲内砂丘林は、普段は許可を得ないと入林することができません。これにより、野生動物の楽園にもなっています。
去る10月16日、林野庁の許可を得て、この稚咲内砂丘林を散策するイベントを開催しました。
サロベツの自然と農業の共生を目指す、サロベツ・エコモー・プロジェクトの一環として毎月開催している、エコモーCafeのイベントとして実施しました。
当日は、旧稚咲内小学校に集合。そこから歩いて3分くらいで、入林する場所に到着します。
その横には、姫沼という美しい沼があり、カモが優雅に泳いでいました。
看板のある所から、林道に入っていきます。
森は、もうすっかり秋景色~
つたうるしの赤い葉がとても綺麗でした。
ただ、触るとかぶれるかもしれないので注意が必要です。
大きな朴の葉。
今回の散策のガイドをしてくださったのは、北海道森林管理局の主席森林官・小林さんです。
稚咲内砂丘林は、普段はほぼ人が入らない場所。
今回のイベントのために、林道の下草を刈ってくださいました。
また、万が一熊が出ても大丈夫なように、熊スプレーやナイフも準備頂き、安心して散策できました。
ちなみに、熊にあったら、あわてて逃げたりせず睨んでいれば大体向こうから立ち去ってくれるそうです。
ここは普段から人が歩けるように整備された道ではないため、あまり見たことがないようなものに出会います。
この木、皮がはがれてつるつるです。
これは、すでに内部は死んでいて、もういつ倒れてもおかしくない木なのだそう。
山道などではこういった木は危険なので切り倒すそうですが、ここは特別保護林なので自然に任せなければなりません。
でも、枝ぶりなどから、道の方には倒れてこないだろうという確認はされているそうです。
特別保護林のためむやみに切ることができず、でも人の安全も確保しなければならないため、こうして一本一本確認されているんですね。
森林官という仕事の一端を垣間見ることができました。
この木は何らかの理由で、途中で折れていました。内部はまだ生きているので、樹液が滴っています。
倒れた木も、そのままにされます。林道を横切る形で倒れても、切ってどけたりは出来ません。
死んだ木はまた、新しい命のゆりかごになります。
木が倒れ、森に明かりが差し込む場所には、次の世代がすくすくと育っていました。
森で日々行われている、命のバトンリレーです。
森の中では、様々なものに出会います。
これらの赤や青の木の実。なんて名前の実なんだろうな。教えてくれてた気がするけど忘れた。。
木の実がたくさんあって、森は熊の天国でした。
まるでおとぎ話に出てきそうな真っ赤なキノコ。やっぱり毒キノコでしょうか。
上のきのこ、つぶれているのは、小枝でつついてみたもの。プシュっと白い粉を吹きました。
なんだか南の国のフルーツのよう。
熟すとこうなるそうです。
この木は、鹿が角をこすりつけたために皮がはがれていました。
立派な鹿の角が落ちていました。
森の間に現れる湖沼群。
森の中から見上げた空。
森歩きはやっぱり気持ちいい!
豊富にいると、サロベツ湿原や大規模草地のような、広大な自然の景色の中を歩くという自然体験を良くします。
それはそれで素晴らしいのですが、やっぱり森も良いよね!と改めて再確認しました。
森の濃密な空気を吸い、葉っぱを踏みしめ、鳥の声や森を風が渡る音を聞き、自然の様々な色に目を楽しませる。
なにより、野生の命の気配を感じることで、自分の中の何かが研ぎ澄まされるような感じが好きなんです。
稚咲内砂丘林を歩くのは、虫の少ない秋~春が良いです。
また散策するイベントを企画したいと思いますので、その際はぜひご参加ください。