豊富温泉とアトピーの本
私はアトピー患者ではありますが「湯快宿」の管理人なので、湯治の仕方、疾患自体やその治療に関わる相談(…果ては人生相談まで)などを個別に受けたり、アトピーと絡めての取材を受けたりしたとき以外は、普段はアトピー、アトピーとアトピーのことばかり話さないように心掛けています。
特に、こうしたWebなどを通じて、不特定多数の人を対象に外向けの情報発信する場合などはなおさらです。
というのも、確かにここ数年で豊富温泉へ湯治にやって来るアトピー患者の数は、乾癬患者のそれをも上回るようになったとは言え、豊富温泉や湯快宿に救いを求めて来る方達はアトピーの人だけではないからです。
そんな私が、今日は珍しくアトピーネタをご紹介します。
これです。
つい先日先週、著者の方から取材へのお礼の言葉と共に送られてきました。
ちなみに、これまで豊富温泉を題材とした書籍としては、作家、窪島誠一郎氏の『かいかい日記 「乾癬」と「無言館」と「私」』がこの界隈では有名で、数章が氏の豊富温泉での体験をもとに書かれています。
豊富温泉を訪れてみて、豊富温泉や湯治のことを本にしたいと言う方は過去にも幾人かいらっしゃったのですが、こうして出版までこぎ着けた方は恐らく初めてです。
彼は、この2年程の間に、取材のため豊富町に何度も足を運んできました。
その度に「湯快宿」にも立ち寄ってくれて、自身が取材した事柄についての意味を尋ね、裏付けや説明を求めてきました。
また、私に対しても、私自身のことから始まり、アトピーという病気や治療のこと、豊富温泉や湯治のこと、私達が行ってきた(行っている)湯治を支援するための取り組みのこと、アトピーフォーラムなど、豊富温泉で湯治するということの背景にあるもの、私が豊富温泉に関わってきたことを、直接文章に現れていないことまで、何度も何時間も話を聴いていかれました。
出版もいよいよ間近になった頃、私のところを訪れた彼は、アトピーが辛いということ、アトピーを抱えて生きて行くことの苦しさというものが良く分からなかったと、取材を始めた当初を振り返り仰っていましたが、取材を重ね、ここまで書きまとめ上げる過程でずいぶん理解が深まったようでした。
本を出すというのは大変なものなのだなという意味を込めて「一冊の本を出すのに、こんなに時間が掛かるんですね?」と尋ねると、「私の仕事が遅いだけです」と彼は笑っていましたが…。
もう少ししたら販売もされるでしょうから先週、一旦この記事を取り下げて別の記事に置き換えたときに彼に確認したところ、今週の始めには書店に並ぶだろうと仰っていたので、もし書店で見かけたら手に取ってみて下さい。
書籍情報:
『ルポアトピー患者がつどう温泉』 豊富温泉という福音 「三五館」刊
門脇啓二 著
ISBN978-4-88320-623-0