過ぎ行くサロベツの冬
こんにちは!
ここ豊富町も、そろそろ春の兆しがかすかにしてきました。
一面雪景色の冬も、もう少しで終わりです。
アラスカの大自然の中に生きた写真家、星野道夫さんの本『旅をする木』。
もう何度読み返したか分からないこの本の中に、こんな一節があります。
“頬を撫でてゆく風の感触も甘く、季節が変わってゆこうとしていることがわかります。アラスカに暮らし始めて15年がたちましたが、ぼくはページをめくるようにはっきりと変化してゆくこの土地の季節感が好きです。”
(『旅をする木』「新しい旅」から)
この、ページをめくるようにはっきりと変化していく季節感を、私はここ豊富で感じています。
今は、どんどんスキー場の雪が融け、道路や駐車場も雪が無くなっていき、久しぶりに土を見る。
そんな時期です。
豊富は、一年の半分が冬。長い冬ですが、こうして過ぎ去ろうとしていると、名残惜しくもあります。
私は昨年の4月に豊富に移住してきたので、豊富では初めての冬でした。
ただでさえ不便な土地が、雪でさらに不便になる。色々冬の準備で出費もある。
最初はそのマイナス面ばかりが見えてきましたが、その内に、素晴らしい面も見えてきました。
例えば、スノーシューでサロベツ湿原や森の中を散策するとき。
一面の銀世界の中、空気は澄み渡り、物音は何一つせず、ただ自然が美しく存在している。そんな中、無心に歩いていると、心が澄み切ってきます。
この冬は何度かスノーシューハイクをする機会があり、すっかりスノーシューが好きになりました。
その中でも、私の中で素敵な思い出となった日があります。
それは、サロベツ原野で活動されている動物写真家の富士元寿彦さんとユキウサギを追った日でした。
ユキウサギは、真っ白です。そして、雪景色も真っ白。素人目には、どこにいるのか皆目見当がつきません。
富士元さんと、ユキウサギの足跡を探し、それから巣穴の場所を予想して、ということを繰り返すこと2時間余り。
今日は、スノーシューで雪を歩く感触を楽しめたから、ウサギは会えなくてもいいかな、、と思い始めた頃。
富士元さんが、あそこにいる、と教えてくれました。
そこから巣穴の正面の方に回り込みました。
ユキウサギは警戒心が強く、なかなか近づけないそうですが、この日はラッキーにもあと10m程度まで近づけました。
まるで鏡餅のよう!
しばらくしたら、安心したのか、半分冬眠を始めました。
耳を一つだけ立てて物音を聞いていますが、他は眠っているそうです。
これもまた、かわいい~♪
ふわふわで、まるでぬいぐるみのよう。
でも、目の前にいるユキウサギは、この厳しいサロベツ原野の冬を過ごしている野生のユキウサギ。
彼らの見ている世界は、きっと私たちからは想像もできない遠い彼方にあるのでしょう。
そんな野生が、すぐ身近に存在してくれている。それがまた嬉しく感じられました。
豊富は、冬も美しく、素晴らしい体験に満ちています。
そして、これからは、短い春と夏がやってきます。
凝縮された、祭典のような日々。
これからの季節も、また楽しみです。