おいしい牛乳が出来るまで ~豊富牛乳公社~
豊富町に住んで長い方であればすぐに分かるかもしれません。
正解は・・・
以前使われていた豊富牛乳のパッケージ!でした 😀
・・・ということで今回行ってきたのは、「豊富牛乳公社」です!
北海道を代表するコンビニ「セイコーマート」で販売される牛乳を中心に、豊富町産の生乳を管理し、商品化しています。
普段口にする豊富牛乳についてたくさんのことを聞き、これまで知らなかったことを多く学ぶことが出来ました。
そのすべてはとてもここに書ききれるものではないので、個人的に印象に残ったこと、皆さんが知らなさそうなことを中心にご紹介します。
●牛乳の種類とパッケージデザイン
今回のブログは長めになりそうなので、興味を持ってもらえそうな内容から書くことにします。
こちらは現在使われている牛乳パック。
全部飲んだことのある方はかなりの牛乳好きですね 🙂
左から順に、基本的な「牛乳」、「低脂肪牛乳」が2本、「成分調整牛乳」が2本です。
左から①、③、④番目はセイコーマートで販売されているもの。パッケージのデザインを変えているんですね。
皆さんは牛乳の種類を意識したことはありますか?
牧場にいる乳牛から搾られた生乳は,検査の後さまざまな工程を経て,私たちが普段口にする牛乳になります。
こちらが全体の工程です。(画像クリックで少しだけ大きくなります)
この工程のうち,「均質化(ホモジナイズ)」を省けば「ノンホモ牛乳」と呼ばれる脂肪分がそのままの形で残った牛乳に(牛乳公社では作られていません)。
また,遠心分離機による「脱脂」の工程では,一度生乳から脂肪分を取り除き,その後再び一定量を戻すことで「低脂肪牛乳」や「成分調整牛乳」が作られます。
種類別「牛乳」は乳脂肪分が3.0%以上ありますが、「低脂肪牛乳」とは乳脂肪分が0.5%以上1.5%以下のものを指します。
0.5%以下のものは「無脂肪牛乳」となり、成分を調整した牛乳のうち「低脂肪牛乳」にも「無脂肪牛乳」にも当てはまらないものを「成分調整牛乳」といいます(つまり乳脂肪分は1.5%と3.0%の間です)。
成分無調整のいわゆる「牛乳」は、「脱脂」の工程は飛ばします。
「殺菌」の方法によっても異なる牛乳が出来上がります。
現在一般的なのは130℃程度の超高温で2~3秒の殺菌をおこなう方法で,これにより短時間に高精度の殺菌をすることが可能です。
ただこの方法だと特有の「焦げ」の匂いがついたり,本来の風味が損なわれるとも言われています。
超高温殺菌のほかには65℃程度で約30分加熱する低温殺菌があります。
牛乳の風味を残して殺菌出来るのがこの方法の利点ですが,その反面賞味期限は短くなるため,遠方へ配送する商品などには適しません。
牛乳本来のおいしさを残すという点で低温殺菌は理想的な方法ですが,豊富牛乳は関東に展開するセイコーマートや関西地方にまで配送しているため,殺菌は超高温殺菌法を用いているそうです。
自分は普段から牛乳をよく飲むので、このような話はとても興味深く聞くことができました。
・・・
しばらく説明の文章ばかり続いてしまったので,ここで息抜きにクイズです!
牛乳パックの一番上に付いているこのくぼみ,何のために付けられているか知っていますか?
(左上のくぼみです。)
正解は・・・
目の不自由な方が牛乳を判別できるようにという目的で付けられたもの。
このくぼみは「切欠き」といい,種類別「牛乳」のみ,開け口の反対側に付けられています。
こんなところにこんな配慮があったなんて,と驚きました 🙄
●豊富の牛はこんなにすごい
続いては,豊富牛乳を生み出す牛たちのお話です。
「当たり前だろ!」と言われそうですが,豊富牛乳はおいしいですよね。
そのおいしさには,豊富町一帯の風土や環境が大きく貢献しているんです。
乳牛に与える餌は大きく分けると2種類。
粗飼料と濃厚飼料です。
粗飼料とは,草のこと。それを,青草はもちろん,乾燥させた乾牧草や,水分量を調節して発酵させたサイレージといった形にして与えます。
これをビニールでラッピングしたものも良く目にしますよね。
それがサイレージです。
サイレージは私たちが食べる漬物のようなもので,貯蔵がきくほか,発酵して風味がつくことで乾牧草よりも牛の食いつきが良いそうです。
濃厚飼料はトウモロコシや麦,大豆などが用いられ,繊維質の多い粗飼料に比べると「栄養源」が多く含まれています。
お乳を出す乳牛には栄養分は欠かせません。粗飼料とバランスよく与えることが重要とのことでした。
これらの餌の割合は酪農家によって異なり,それが牛乳の味にも少しの変化を与えます。
現在,酪農の形態は経済性・効率性を重視した方向へ進んでいます。
本来,夏には牛を完全に放牧して青草を食べさせていましたが,今では管理しやすいように時間を限定して放牧するといった方法も多いそうです。
このような話は私たちがこの後訪れた「工房レティエ」でも聞く機会がありました。
豊富町では今でも夏には放牧がおこなわれ,広大な丘陵地帯で牛たちが好きなように動き,食べ,過ごしています。
このような環境が豊富牛乳のおいしさに繋がっていることは間違いありません。
ここで1頭,豊富のスゴイ牛をご紹介。
こちらの「レスポアール レーガンスター ハーゲン」という名前を持った乳牛。
豊富町の佐藤さんという方が育てた牛なのですが,ホルスタイン(牛の品種のひとつです)の体型を評価する審査において数々の賞を受賞しているのです。
そのなかで快挙ともいえる出来事が,日本ホルスタイン登録協会が定める「ホルスタイン種牛審査標準」という体型審査で96点という得点を獲得したことです。
この基準では骨格や肢蹄,乳器といった項目が審査され,各項目の合計得点でホルスタインを評価します。
牛乳の美味しさに直結している訳ではありませんが,この96点という得点・・・なんと国内最高得点だそうです。
また驚くべきことに,レーガンスター号は昨年の審査当時,14歳という高齢でした。
酪農の町である豊富で大切に育てられた牛が高く評価され,改めて豊富には素晴らしい環境があるということが分かるエピソードだと感じました。
たくさんのお話を聞いた後は,工場の見学をさせてもらいました。
説明を受けた工程が実際にどうなっているのか,また牛乳パックがぞろぞろと並んでレーンを流れていくのを見るのは純粋に面白かったです。
ここでもさまざまな発見がありましたが,ここはぜひ見学に行って確かめてみてください。
工場内は撮影禁止でしたので,皆さんの目で直接確かめられることをお勧めします!
こちらが今回私たちを案内してくださった千葉さん。
元々は岩手から豊富へいらっしゃったそうですが,牛乳に関する知識はもちろん,豊富という場所と,そこで生まれる牛乳への愛を感じる方でした。
いつも飲んでいる豊富牛乳の出来る過程を見に、千葉さんに会いに、ぜひ牛乳公社に行ってみてください 🙂
おわり